【パルワールド】パルワールドに同情的な外国人

任天堂、『パルワールド』制作元ポケットペアを提訴

こんにちは、原板井まさまるです。

2024/09/19、任天堂とポケモンは共同で『パルワールド』を配信するポケットペアに対して、特許権の侵害を理由として訴訟を行いました。著作権ではなく特許権であるのはおそらく「キャラクターデザインの類似」では訴えづらいから、というのが個人的な見立てとなります。

パルワールドについては、開発者の言動について、(具体的な原作に言及していないとは言え、ポケモンや他のいくつかのパルワールド制作の際に参考になったと思われる) 類似ゲームへのリスペクトがないなどと批判されることもありました。既存ゲームのコンセプトを模倣したゲームはメトロイドヴァニアやソウルライクなど雨後の筍のごとくあり、他にも『MOTHER』に大きく影響を受けた『UNDERTALE』などありますが、原点へのリスペクトを欠いた言動をするインディーズゲーム制作者はあまりいないようにも思うのでその点が反感を買ったのかもしれません。

また、制作会社のポケットペアはソニー・ミュージック、アニプレックスと三者で合弁会社「パルワールドエンタテインメント」を設立してコンテンツビジネスをしようとしていたり、PS5のキラーコンテンツとしてパルワールドをリリースしようとしていた (それまではWindowsとXbox Series X|S向けのみリリース) こともあり、このタイミングで動いておかないとと任天堂が腰を上げたと見る向きもあるようです。

いずれにせよ、ポケットペアとパルワールドが任天堂とポケモンの逆鱗に触れたというのは「そりゃそうじゃ」と故・石塚運昇さんの声が聞こえてきそうですが、海外では割とポケットペアに対して同情的な意見も多いようです。実際、国内でも「ポ◯モンじゃないかこれ」という書き込みはあれど楽しんでいたプレイヤーも多くいたといえばいたのですが、「怒られてもまあ仕方はない」という意見が多いようにも見えました。しかし海外だとかなり驚きと反発をもってこのたびのニュースは迎えられたようです (もちろん海外でも批判意見もないわけではありませ)

海外はパルワールドの何に惹かれているのか?

ここで気になることは、「海外の人たちはパルワールドの何を好んだのか?」ということでしょうか。ポケモンと共生できる世界観を楽しむゲームがないからパルワールドを好んだ?なるほど、そういう人たちもいるのでしょう (『Pokémon LEGENDS アルセウス』とか『スカーレット・バイオレット』はだいぶそっちに寄せてきていると思いますが) 。しかしそれ以上に重要なのは、海外では「もっとブラックなネタを放り込んだポケモンが遊びたい」という需要があるようなのです。

ポケモンファンは「いや、デカヌチャンとアーマーガアとかシーキンセツとかブラックなネタなら山のようにあるだろ」と思うかもしれませんが、それでもポケモンの大概の設定は海外勢からするとだいぶ平和ではあります。ゴーストポケモンがどいつもこいつも人間の生命力を食いにかかるなんて海外勢からしたら子供じみてるというくらい。

皆様の中には『ポケットモンスター アルタイル・シリウス』とかをご存じの方もいるかもしれません。かつて日本でも改造ポケモンなんていうのは多少流行っていましたが、今や『幻想人形演舞』の元ネタが『東方人形劇』という改造ポケモンでしたとか、『萌えっ娘もんすたぁ』なんてのがありましたとか、フレイバナやアジョットが記憶に上がる人がいるくらいでしょう。

しかし海外ではもっと多くの大人たちが改造ポケモンや、あるいはシステム自体をPC移植した『新作』を日夜作り続けており、星の数ほどこうしたポケモンファンゲームが存在しているのです。そして、その設定は普段我々が「新しいリージョンフォームがあったとしたら」なんて考えている範囲をかなり逸脱しています。YouTubeとかでプレイ動画もたくさん上がっていますが、ぎょっとするものも多々。3例ほど見てみましょうか。

ぎょっとする要素を持つ、海外のポケモンファンゲーム3選

異世界のポケモンに「作り変える」!? ―― Xenoverse: Per Aspera Ad Astra

この世の裏側のような世界に住むポケモンたちの亜種が登場する本作「Xenoverse: Per Aspera Ad Astra」では、「相棒ポケモンが新たな力に耐えきれなくなって暴走し、主人公と敵対する」といった展開や、「裏側にいるもう一人の自分と敵対する」といった他のゲームではよくあるものの「ポケモンだったらなかっただろう」展開が含まれています。

そんな本作では、裏側のポケモン=「X種」というものが存在しており、例えばピカチュウは通常種はでんきタイプですが、X種のピカチュウはオスが「おとタイプ (本作固有)」、メスがフェアリータイプとなっています。こうしたX種の大半の入手方法はイベントだったり、異界での野生入手だったりするわけなのですが、「バンギラスX」と「スコヴァイルX (スコヴァイルはスコヴィランとは異なる本作固有種)」については、原種のバンギラスとスコヴァイルに「Inductive Ring」なる道具を使用して、異界の姿に作り変えてしまうという手段だったりします。

もともと存在する (という設定の) メガシンカやキョダイマックスとことなり、基底世界では絶対にあり得ない変化をポケモンに与えるというもの。大丈夫なのそれ?作中では敵が最初に繰り出してくるのですが、主人公も同じことをしないと入手できないってどうなんですかね……。別に改心した敵が「君ならうまく育てられるだろう」とかいって譲る展開でもいいじゃない……。

放射能汚染されたポケモン!? ―― Pokémon Uranium

主人公の母が原子力発電所の事故で行方不明となっており、更に放射線に被爆してしまったポケモンたちが「げんしりょくタイプ」として登場するという、あまりにブラックユーモアにより過ぎた作品「Pokémon Uranium」。RPGツクールXPで9年間の歳月を経て作られた本作は、任天堂から直々に公開停止を要請され配信は取り下げられたものの、非公式に (元がファンゲームなのでこのような表現はどうなのかわかりませんが) 修正や新要素の追加を行ったバージョンの配布が続いています。

最初からげんしりょくタイプであるオリジナルポケモン「ゼノクイーン」「ガイガローチ」「ニュクレオン (げんしりょくタイプのイーブイ進化形)」もいれば、テーマがテーマなので「放射能汚染された」既存種もいます。なぜか「放射線」マークではなく「バイオハザード」マークを腹部に宿した「放射能汚染アーボック」はメガシンカまで用意されています。

なお削除された動画によると「新規種はともなく、既存種の放射能汚染種はぶっちゃけ弱くて使い物にならない」とのこと。じゃあもうただの被害者やないか。

合体ポケモンには憧れたけども! ――Pokémon Infinite Fusion

今回最後に紹介するのがぶっちぎりでやばい本作、「Pokémon Infinite Fusion」。基本的にストーリーは初代……というか『ファイアレッド・リーフグリーン』をベースに進みます。しかし本作の特徴はなんといっても「シルフコーポレーションが新たに開発したDNA SplicerによってポケモンをFuse (融合) しよう」というもの。

トレーナーもジムリーダーも当たり前のようにポケモンを融合させて使用してきます。ポケモンの意志・感情は完全に無視。融合ポケモンはデザインネタやるときは面白いけど、作品中で「DNAをつなぎ合わせて新種!」とかそういうことを、しかも悪役ではなく誰しも皆がやるとなるとさすがに倫理観が気になってしまいます。原作にもシルヴァディとかいたけど、あっちは一応悪役が作ったわけで……。

パルワールドを望む人々に「ポケモン」ブランドが提供できる価値は?

ポケモン世界でもデカヌチャンとアーマーガアの関係など、要所ではちょっとブラックユーモアを入れたり、黒いゲーフリと言われるような要素も多々あるものの、ワールドブランドとなった「ポケモン」がパルワールドを望むような人々に提供できる価値はあるのか?と言われるとなかなか難しい要素も多くなったように思います。

初代ポケモンのころの黒い設定と決別して、アニメ・漫画・その他メディアミックスは老若男女が楽しめる「ポケモン」への道を驀進しています。「ショッピングモールにポケモンがやってくるよ!」というイベントでピカチュウが子供たちにピカピカ手を振る、そんな時代に果たしてポケモンブランドでパルワールドやXenoverse、Uranium、はてはInfinite Fusionのような形は実現可能なのでしょうか?

原作でも設定上おかしくならないような形で、パラドックスポケモンやリージョンフォーム、他人の空似 (ディグダとウミディグダ、ヤバチャとチャデスなど) のような既存種に関係するデザイン空間を拡張しようとしているようにも見えます。流石にパルワールドみたいに、いくら密猟者とはいえ若い女の子をゲットして使役するなんてことはできないでしょうが、ポケモンもユーザーに飽きのこない驚きとワクワクを感じさせる新要素を常に提示するために努力していると思います。

正直パルワールドも「ほんわかしたモンスター × グロ・暴力」というものは別に類例がないわけでもないですから、「アセットドリブン」などクリエイターにリスペクトのない言動をしていなければ目をつけられなかったんじゃないかとも思います。

今後訴訟とパルワールドがどうなるかはわかりませんが、任天堂は過去にコロプラ訴訟でも最後の最後で白猫プロジェクトの配信差し止めを回避するなど、クリエイターやプレイヤー・ファンに対してけして鬼ではないので、うまいところに落着すればいいなあと思います。

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